【A-5】熱帯夜
使用したお題(複数選択可)・・・あつい
いつもと文体、話の雰囲気などを・・・ほとんど変えていない
一言コメント・・・とても楽しく書かせて頂きました!
備考(作品の注意事項など)・・・なし
「本日の最高気温は40度です。夜も熱帯夜になりますので、睡眠中の熱中症にはお気を付けください。」
そう流し見してた昼間の情報番組が言ってたことを思い出した。
「...そりゃ夜でも暑いわな」
名古屋特有の異常な暑さに耐えきれず目が冴えてしまった獄は、ベランダへ一服しに行こう。と隣で寝ている恋人を起こさないように窓を開いた。
涼しいとは言い難い周りに纏う空気にふわふわと涼しさを感じる夜風が心地よく、部屋にいるよりかは幾分かマシに思えた。
上を見上げると、都会のマンション街の濁った空の中に強く存在感を放つ丸くなる前の月が見える。
眩しさに目を細めながらカチ、カチッとライターをつけると手馴れた手つきで1本を口へと運ぶ。口に馴染んだ味が思考を鈍くしてくれる。
この怠く暑い夜のことも、蒸し暑いせいで見るくだらない悪夢のことも
「...ひとやさん?」
リン、と鈴のような声が後ろから聞こえた。
「あぁ、十四」
とたとたと寝起きのおぼつかない足取りでこちらへ来た十四は、こんなに暑苦しいのにベッドに獄がいない違和感に目覚めてしまったらしい。
「すまん、起こしちまったか」
「まだ早いから寝てろ」
するとむっとした表情で
「...起きます」
と言った。そして甘えるように優しく獄に抱きつくと、触れるだけで壊してしまうかとでもいうように、大事に、大事に抱きしめた。
「獄さんとの時間は、1秒でも大切にしたいので」
「...やっと手が届いたんだから」
月が 、より一層輝きを増す。
「....そうかよ」
複雑そうな表情を浮かべた獄は、上にある十四の顔を首だけで見た
「おい十四、こっち見ろ」
「えっ」
返事を待たずにフー...とタバコの煙を吹きかけた。ゴホッと涙目で咳き込む十四を面白そうに見ているいじわるで気まぐれな猫のような男を、十四は戸惑いの表情で覗き込んだ。
「...起きたんならよ、続き、しようぜ」
「...もう」
そんなエッチなお誘い、断れませんよ...とぶーたれる素直な十四を見て獄はクク、と笑うと、同時に全ての気持ちを掻き消すようにタバコの火を潰し、またあの暑い部屋に戻って行った。
あまりにも強すぎる月の光は陰をより一層濃くするが、同時に俺の心を隠してくれる
「...甘えてるのは俺の方だな」
作者・・・コケ
いつもと変えたところ、意識したところなど(自由回答)・・・人生で初めて小説を書いたので難しかった!!です!!この場に自分がいることに恥ずかしさしかないですが自分なりに頑張ったので、暖かい目で見ていただけたら...嬉しいです!!